犬のウェルフェアを第一に、身体的、または精神的健康を損なうような方法は使いません
Dog Esseでは、動物福祉を伝える活動に取り組みます。
動物福祉(アニマルウェルフェア)の定義
「動物福祉とはいかに動物が生活環境と調和しているかを意味する。もし(科学的事実に基づき)健康で、快適で、栄養状態が良く、安全で、内的に動機付けされた行動ができ、そして苦痛、恐怖、慢性的なストレスといった不快な状態にないのなら、動物は”福祉が良い状態”だと言える」
(世界動物保健機構(OIE))
OIEの定義では、動物福祉とは私たちが何か配慮をしてあげることではなく、動物の健全な状態を指しています。しかし、私たちと暮らす動物は環境のすべてを自由意志で選択することはできません。Dog Esseでは、人は動物福祉を考える視点にたって、動物に何かをすることが大切だと考えています。
動物福祉と動物愛護
この2つの立場の違いは、なんでしょうか?どちらも動物を大切にしたいという思いがあります。
◾️動物福祉:::科学的エビデンスから動物への視点を持つ。
◾️動物愛護:::情緒的な思いから動物への視点を持つ。
日常的に、愛犬の行動をよく観察し、学んだ動物行動学や行動心理学の知識から、動物に共感することが動物福祉につながると考えます。
身体的、精神的健康を損なう方法は、なぜ使わないのか?
アルファシンドローム(権勢症候群)とは、犬が認識している自分の社会的地位を維持するためにみせると定義されてきました。家族の中で優位に立つために、攻撃や指示への不服従などを示す行動であるため、家族は犬より優位であることを示すために体罰が有効であるとする考え方です。これは、オオカミの研究をもとにした考えでしたが、根本である研究対象のオオカミの群れが、飼育下に人によって集められた歪んだ集団であり、野生下本来のオオカミのモデルではないことが明らかにされています。そのため、アルファシンドロームをもとに人と犬の関係を支配的に制御するということは動物福祉の視点からも適切ではないと考えます。
犬の望ましくない行動に体罰を与えるということは、行動分析学の考えでは「正の弱化」にあたります。適切なタイミングで体罰が与えられると、望ましくない行動を減少する可能性があります。しかし、それはご家族が犬との関係に望んでいることでしょうか?
犬は、望ましい行動を学習していません。
体罰は恐怖や怒りのような感情を引き起こす可能性があり、パフォーマンスを下げます。過剰なストレスは脳の思考をつかさどる前頭前皮質が停止し、逃走闘争本能を引き起こします。過剰なストレスが続くとストレスホルモンの過剰分泌で、汎適応症候群が起き身体の健康を損ないます。
体罰は望ましくない行動だけでなく、他の行動も抑制します。動物にとって予測不可能でコントロールできない状況に繰り返し置かれることは、学習性無力感を生み、心身の健康を損ないます。
体罰は常に監視が必要となります。また回避や逃避する行動を学習します。
ご家族が愛する動物に継続的に体罰を与えることが幸福でしょうか?Dog Esseでは、もっと愛犬と信頼関係を築ける他の方法があるならば、その方法を選びたいと考えます。
参考
・アニマルフェルフェア国際協会(2021)
・RPTM Japan(2021)
・E•メイザー(2019)メイザーの学習と行動
・青砥(2021)ブレイン•ドリブン